なぜ一般に考えられる方法ではだめなのか?

思考がだめな理由

不倫や浮気の問題の本質は、事実の問題ではなくて、心理的な問題だからです。事実として長い人生の中で本当にもう二度としないということは (当然そう決意する必要はありますが)、残念ながら誰にも結果を保証することができません。そのことがわかっているからこそ不安になるのです。 半年大丈夫でも、1年後に再発するかもしれない。3年大丈夫でも5年後に再発するかもしれない。その不安こそが問題なのです。

不安は「理解」によって多少緩和することはできますが、本質的になくすことはできません。

たとえば、一人でロケットに乗って月に行くことを考えてみます。さまざまな科学知識は不安を減少させることはできますが、不安をなくすことはできません。上に挙げただめな方法は大なり小なり状況や対処方法をあらかじめ知っておくこと(思考)によって、現実的なリスクを減らして不安を和らげる方法です。

何回も経験することによって不安を減少させることもできますが、この場合それは適切な方法ではないでしょう。

別の方法はこうです。一人であるよりも、人生を共にしてもよいと思う人(信頼できる友人や家族、配偶者)と一緒なら不安は減少します。この場合、思考を使ったときのように現実的なリスクは減りません。しかし、情緒的には安心感を持てます。

思考を使う場合、立場が違うので二人は対立する関係になってしまいます。それはどんなに話し合いの内容が相手の意向を汲んでいても、上記のような観点で話し合う限り構造的にそうなります。

「一緒にいる」と感じる(別の表現をするなら、わかってもらえたと感じる)ためには、話し合いの構造を変える必要があるのです。(間違いはあったけど)今はそばにいるということを感じることができるコミュニケーションの構造にする必要があるのです(そう説得しようとすると対立する構図になってしまいます)。

カウンセリングでは、こういったコミュニケーションの構図にアプローチします。

強い意志や反省(罪悪感)がだめな理由

そもそも、浮気しようと思って結婚したでしょうか?なかにはそういう人もいるかも知れませんが、そういう方はアプローチが別ですのでここでは除外します。

そもそも、当初に強い意志を持っていたのにそれが守れなかったのはなぜでしょう?もし、今回ほとほと身にしみたから今後は大丈夫だというのなら、今まででに同じようなことはありませんでしたか?

たとえば、試験前勉強が足りなくて、思うような点数がとれなかったことがあったら、それ以後いつも十分な勉強ができましたか?

意志を強く持つのは社会的に「正しく」「かっこいい」ことだとみられていますが、現実の人間は残念ながらそうできていません。もしそうなら、世の中聖人君子だらけになります。

だから、意志を強く持つというのは、極論を言えば「そうできたらいいな」というファンタジーに基づいた解決策もどきに過ぎず、科学的ではないのです。人間の行動パターンに基づいた解決策が必要なのです。

ご相談は常にケースバイケースです。このページでは最大公約数的な見解を書いております。個別の事例ではこれとは異なった見立てをする場合もあります。