情動対称性アプローチの前提
夫婦間のつながりの本質は、自分が欲しいものを相手からもらい、相手がほしいものを自分が提供する、という相互関係です。
簡単そうに見えて、実はこれが難しいことなのです。少なくとも、
- 自分が欲しいものは本当は何か
- 相手が欲しいものものは、本当は何か
- それをどう提供するか
というステップが必要です。
前述のように、多くの場合、ほしいものは『自分をわかってほしい』です。しかし、わかるためのスキル(コミュニケーションスキル)は実はかなり難しいことで 、そのためにカウンセラーはかなりのトレーニングを積みます。
しかし、それは一朝一夕にできるものではありません。
ただ「いつも」そうしないと夫婦が成り立たないということでもありません。ここぞというときに「やろうと思えばできる」、というのが必要なことです。
情動対称性アプローチとは
BetterCoupleの夫婦のカウンセリングではコミュニケーションの交通整理や、必要に応じて練習を行い、夫婦間で意味のある話ができるように支援します。
しかし、コミュニケーションがよくなれば問題が解決するわけではなく、逆に違いがあることが明確になるので、違いをどう扱うのかが次の課題になります。その違いを扱えないからこそ、お互いの主張を押し付けあって平行線になってしまうのです。
「解決策」を考える前に必要なものは、自分のパートナーの気持ちを「わかる」体験、パートナーに「わかってもらえた体験」です。情動対称性アプローチは、カウンセラーになるための何百時間ものトレーニングなしで、そこに至るためのエッセンスを取り出した理論と練習の体系です。
西澤寿樹により2000年ごろ概要が構築され、2003年ごろには現在の説明体系になっていますが、現在も日々進歩しています。
情動対称性アプローチという名前は、ある状況下では、カウンセラーからみて夫婦の気持ち(情動)が線対称に見えるという発見に基づいていることによります。
深く考えると、実は「共感」はすべてこういった形で行われています。つまり、情動対称性アプローチは、共感をするためにプロが無意識に行っている心の動きを理論化したものです。
情動対称性アプローチの効果
最大の効果は、「わかってもらえるはずがない」という信念に例外が生じることです。
人間にとって一番厳しいのは、前例がないことです。それ(相手に自分をわかってもらうこと)は不可能なのではないかと思いながらも心のどこかで期待し続ける、それが一番厳しいことです。
そこに、たった一回、ほんとにちょっとしたことであっても例外が生じると、人の意識は大きく変わります。
もう一つは、理論を説明し練習をしますので、(いざというときに)今後は自分たちでできるようになることです。