セックスレスの定義

特別な事情がないにもかかわらず、月に1回のセックスがない状態をセックスレスと定義されていますが、日本ではその定義だとセックスレスのケースが多すぎるので、2ヶ月にしたらどうかという議論もあります。

セックスレスの原因

そもそも、大多数の人は性欲があり、一般的にはセックスしたい人と結婚するはずなのに、なぜこういうことが起こるのでしょうか。

原因と考えられることは多岐にわたりますが、大きく分けると、EDや性交痛というような身体機能の問題と、心理的な問題があります。

心理的な問題というのは、性恐怖症や嫌悪症というような個人的な背景による場合と、夫婦間のダイナミックスからもたらされるものがあります。もちろん択一式ではないので、複合的に絡み合っていることが多いのですが。

セックスレスへの対応

気になる対応策ですが、短兵急に考えないのが私たちの流儀です。「問題は何か」「解決像は何か」を明確にします。

セックスは「しなければならないこと」ではありませんから、ご夫婦の一人でも「セックスしたいと思ってる、でもできない」は問題ですが、二人とも「別にしたいと思っていない」のであればセックスがないこと自体は問題とは言えません。

子どもが欲しいのにセックスレスだということでおいでになる方もいらっしゃいます。(セックスはどうでもよくて)純粋に2人の子どもが欲しいだけなら、不妊治療によってセックスレスでも挙児を得ておられるカップルも多数いらっしゃいます。

(できれば)セックスをした上で子どもが欲しい、とおっしゃる方もいらっしゃいます。この辺からグレーゾーンになります。

何がグレーかというと、セックスレスのカウンセリングで「子どもが欲しい」ということをおっしゃる方が少なくないのですが、本当に子どもが欲しいのがセックスレスを解消したい理由なのか、セックスレスの問題を子どもの問題にすり替えているのかが判然としなくなるからです。

もちろん、全部同時に理想的な解決を思い描かれる気持ちはわかりますが、今までうまくいかなかったことが一瞬でバラ色に解決するというのもあまり現実的な期待ではありません。セックスレスを解消するために無限の時間とお金と努力をつぎ込めるわけではないので、優先順位をつけて解決していくことが現実的です。

そうなると、

①子どもが欲しい→セックスレスも解消したい

②セックスレスを解消したい→子どもも欲しい

はアプローチが違うというので、その判別が大事なのです。

セックスレスカウンセリングの難しさ

ところが、もう一つ厄介なことがあります。一般に、セックスをしたいという気持ちが前面にでる②は言いにくいのです。セックスに乗り気でない(応じない)相手に、ずっとしたいと言い続けて、毎度毎度拒否されるのは心理的にものすごく厳しいし、セックス以外の部分でも関係が悪化しかねないからです。

そういう時に、「子どもが・・・」とういのは、ある意味ガチにぶつからないうまい方便なのです。別のやり方として、「なんでしないのか」「普通するよね」などと責めるような方法もあります。これもしたい自分の気持ちをカモフラージュできて、自分の傷つきを抑えるうまい方法ではあります。(なお、これらは内心では②かもしれませんが、相手が感じるところでは単に批判されているだけになってしまいます。)

これは一例ですが、セックスレスの話はなかなか一筋縄では進まない(夫婦のこじれた話は一般にそうですが、セックスレスや浮気などセックスが絡むと一段と)のです。

まとめ

私たちは、言葉によるコミュニケーションがうまく機能しないところでは(少なくとも一方の人が傷つく関係が、言葉によるコミュニケーションで癒される関係性がないのなら)セックスが再開される可能性は少ないだろうと考えます。

逆に言えば、お二人両者がしたければするはずです(たとえば、自分は映画はあまり好きではないけど、相手が一緒に行くと喜んでくれるから付き合う、という程度のものも含めて)。

そうならないのであれば、いかにしてするように「仕向けるか」「圧力をかけるか」ではなくて、自然ならそうなるはずのものを押しとどめているご夫婦のダイナミックスはどういったものかを見つけて、それを解きほぐす方が、まっとうなアプローチだという考え方に立っています。